ホーム>2019年木材統計が公表されました

2019年木材統計が公表されました

 我が国は国土面積の7割に当たる約2,500万haの森林があり、その森林率は先進国の中でフィンランドに次いで第2位、世界でも有数の森林大国といわれています。日本の森林の約4割1,000万haに相当する人工林の蓄積量は着実に増加し、50年前と比較して森林の面積はほとんど変わっていないのに、その蓄積量は約2.5倍となっています。この人工林は戦後の復興等により木材需要が増大していた1950年代後半から1970年代初めにかけて、植林や下刈り、間伐などの膨大な人手と時間をかけて先人達によって造成されたものです。現在では人工林の半数以上が一般的な主伐期である50年生を超え、本格的な利用期を迎えています。

 

 森林には土砂災害などを防止する国土保全機能、炭素の貯蔵庫としての地球温暖化防止機能、水源かん養機能や生物多様性の保全など多面的機能があり、その公益的な機能を発揮して地球環境を守り、私たちの生活にも様々な恩恵をもたらしてくれます。ただし、そのためには『植える、育てる、収穫する、上手に使う』の循環を守り、森林を適切に整備・保全することが大切です。現在は森林の手入れが十分に行き届いていないのが実情で、林業の成長産業化へ向けて乗り越えなければならない多くの課題があります。

 このほど最新の木材統計が林野庁より公表されました。全国の国産材の素材生産量は約2,188万m³で前年比1.1%の増加、東北6県および秋田県の素材生産量は前年比ほぼ横ばいとなっています。全国の素材生産量は2002年の約1,500万m³を底に増加傾向にあり、とりわけ秋田県に関しては合板用材としての需要増と林業機械の導入も進み、2002年の約64万m³から2019年には約128万m³へと倍増しています。そのうち合板用材としての利用はこの期間に2.5万m³から約60万m³前後へと増大し、増加した数量の約9割が合板用材であることがわかっています。

素材供給量及び国産材供給割合の推移

 しかしながら、日本の木材総需要量は1年間で約8,250万m³であり、そのうち国内生産は約3,020万m³、輸入は約5,230万m³、最新の木材自給率は36.6%となっています。2011年から8年連続で木材自給率は上昇していますが、まだまだ低いことがわかります。林野庁は2016年に『森林・林業基本計画』を策定し、2025年までに木材自給率を50%にするという目標を掲げました。これは2025年の木材総需要量を7,900万m³と見通した上で、国産材の供給量および利用量の目標を4,000万m³としたものです。一方で、全国で素材生産量を最低でも現在の1.8倍以上にする必要があります。そのためには伐採作業等の生産性の向上、高性能林業機械の導入、路網整備、人材の育成・確保、原材料の安定供給等、多くの課題が残っています。

 

 秋田県では人口減少と高齢化が進んでいます。林業においてもその傾向は変わらずに、林業従事者の減少と高齢化率の高さが課題であり、高齢化率は徐々に減少してはいるものの、未だに60歳以上の割合が36%を占めているというのが現状です。秋田県では平成27年に秋田林業大学校(秋田県林業トップランナー養成研修)を開校し、2年間のカリキュラムの中で将来の秋田の林業を担う若い林業技術者を養成する研修制度を設けています。その他にも『緑の雇用』事業やニューグリーンマイスターなど、将来の地域林業の発展に向けて、若者の人材育成を様々な形で支援しています。



当社森林事業部の作業現場での秋田林業大学校研修生によるインターンシップ

 当社では国産材の積極的な活用と地域の森林の再生に向けて、平成24年には社内に森林事業部を創設し、高性能林業機械の導入による原木の素材生産や森林整備などの森林環境事業をスタートさせています。将来の人材を育成しながら、森林を適切に整備・保全し循環利用をすることの重要性を再確認し、また国産材を原料とする合板の製品化を通じて炭素の固定化にも寄与し地球環境の保護に繋げていきたいと考えています。また2019年からは育苗事業として生産を開始し、原木および苗木の生産から合板製造まで一貫したビジネスモデルのさらなる強化を目指しています。社内において『植える→育てる→収穫する→上手に使う』の循環が実践することで地球環境の保護に努めて参ります。





 

 日本の木材自給率50%を達成するため、合板業界では国産材の年間消費量を600万m³にすることを目標としています。当社は国内最大の合板メーカーとしての社会的責任を果たすため、あらゆるところに(A)国産材(K)合板(G)を使用し、木材自給率50%を目指す『AKG50作戦』を展開しています。これからも秋田県産材をはじめとする国産材を積極的に活用し、国産合板のさらなる需要拡大のほか、森林環境事業では素材生産および苗木生産を通じ、日本の森林の再生と地域経済の活性化、林業・木材産業の成長産業化へ向けて一層努力して参ります。

■関連リンク
 ・2019.10.21 2018年の木材自給率が公表されました
 ・2019.05.15 当社の向浜第一・第二工場を秋田林業大学校の研修生が見学!
 ・2019.02.01 秋田林業大学校の研修生が当社の森林管理を体験!
 ・森林環境事業

▲ページトップへ