秋田杉利用増へ工夫 高い国産材製品の需要
合板製造の秋田プライウッド(秋田市川尻町)が国内の住宅着工件数の伸びなどに支えられ、高操業が続いている。日本合板工業組合連合会の会長も務める井上篤博社長(47)に、合板市場動向や事業展開などを聞いた。
-合板需要が大幅に伸びている理由は。
井上 国内の住宅着工件数が増えたほか、住宅メーカーの建材需要も環境重視に変わってきた。このため、国産材を活用した製品需要が高い。インドネシア産の合板輸入量が、同国の違法伐採規制に伴い大幅に減ったことも影響している。ここ1年半はフル生産だ。
-秋田杉を合板製造に生かしているようだが。
井上 プライウッドでは原料の4割が秋田杉の間伐材。国が国産材の利用拡大に向けて動き出したことと、市場での国産材製品の需要が伸びてきたタイミングが重なり、活用することにした。間伐材を活用すれば、荒廃した森林の再生につながる。間伐で森林の木が大きくなれば、二酸化炭素の吸収といった環境面でも社会貢献できる。間伐した木の購入は、森林経営者の事業意欲を高めることにもなる。
-秋田杉の活用方針は。
井上 2、3年後を目指して秋田杉の利用率を5割に高めたい。日本農林規格(JAS)に適合する強度を持つ合板を作るには杉は素材として弱い。だが強度のあるロシア産材と組み合わせたり、厚さがある合板製品「ネダノン」を開発したことで杉を使った合板を実用化させてきた。これからも工夫をしながら利用率を高めたい。
-今月、子会社のエーピー福祉が秋田市仁井田に介護施設を開業したが、福祉事業に参入する理由は。
井上 高齢の両親の介護に当たっている従業員を見て、安心して介護を施設に託し、仕事に集中できる環境があればいいと感じていた。女性の社会進出のために新たな職場が地域に必要とも思っていた。プライウッドで特注の建材を作り、施設に使った。
-今後の展開は。
井上 保育園など就学前の子どもたち向けの施設が、介護施設と同じ敷地にあれば理想的だ。需要の動向を見極めながら考えていきたい。
